**尺魂界甘味ハンターR2(アール二乗)**


「このしっとりと柔らかな口解け、ほのかに広がる上品な甘み…やはり白兎庵の白玉は美味しいな!!文句無しに100点満て「60点」

言い終わる前に高揚した声に醒めた声が被される。


「…ッ何だと恋次ッ」


白く艶やかなお椀の中の宝玉から前に座っている連れに目を移すと、
朱塗りの匙を口にくわえて面白くなさそうに眉間に皺寄せた幼馴染。
丁寧に片手で点数表示までしている。


「不味くはねぇがよ、屋の鯛焼きには遠く及ばねえな!!
100点満点なんざやることは出来ねえ!!」

「またすぐにそうやって鯛焼きばかり持ち出すな!
あくまで我々の任務は流魂街から霊邸まで、人気の甘味を聞き込み現地調査する事にあるのだぞ?
公私混同せず真面目にやらんか」

「…(さっきまで声かけても白玉に夢中で気が付かなかったくせに…)」


何か言いたそうな目線がチロリと向けられる。


「ぬ!?何だその目は!?」


少々吊り目気味の眼光に鋭さが増す。


「へいへい…」






―今回はオレが付き合ったから次はてめえが付き合えよ、ルキア

―仕方がない。口コミリサーチをまとめたファイルはこれだ。
この中から選べ。

―おう。あーっと……お!んじゃこれだな!
次は鯛焼きが美味いって評判の竜田屋ってトコに行ってみようぜ

―まるで何とかの一つ覚えだな、恋次の鯛焼き好きは…

―良いじゃねえか好きなもんは好きなんだからよ。 そんな事言ったらテメエの白玉だってバカの一つ覚えじゃねえか

―当たり前だ!甘味の王者白玉を莫迦にするつもりか…!?


キラキラと白く輝く珠の如き白玉を乗せた匙をビシィッ!!と恋次に向ける。


―甘味の王者だと!?何言ってんだ鯛焼きが一番だぜ!!

―…
―…

バチバチバチバチ…


―…


ひょいパクッ!!
―なッ!?


―あああああッ恋次ッ貴様ッ私が大切に最後に取っておいた至福の宝玉(要するに白玉)をッ!!

空っぽになった匙を握る手をフルフル震わせながら、半分涙目になった目でギンッとにっくき白玉泥棒を睨む。


―へッ油断大敵だぜルキアッ!!!!


言いつつ。
睨まれた側は、視線を彼女から逸らし。
顔を横に背け、自分でやっといて間接キスだとか照れて頬を微妙に赤くさせていたりする。
…大胆なのか、繊細なのかよくわからない男、阿散井恋次。
恋する男の心も乙女と一緒で複雑なのだ!!


―恋次ッ此方を見んか!!


(頬の変化がわからない為)ひたすら傍若無人な相手の態度(にルキアには思える)に怒りのゲージがギューンと溜っていく。



日常茶飯事的喧嘩勃発まで後5秒。



(ビジュアル的にも)凸凹コンビの尺魂界甘味珍道中はまだまだ続く!!



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月間セイ霊通信の新企画に何故か「尺魂界口コミ甘味突撃リポート」の特派員をする事になった2人。の図。
多分口コミ情報の中から順番に選んでいくため毎回

・白玉関連の美味しいお店(ルキア選)→鯛焼きの美味しいお店(恋次選)→白玉関連の美味しいお店(ル)→鯛焼きが美味しい店(恋)…
の終わるこなきエンドレス。

そのうち読者からクレーム入って2人で

「てめえが白玉ばっか選ぶからだろ!!」
「白玉スウィーツには色々なバリエーションがある!!
お前の方こそ鯛焼きのお店鯛焼きのお店鯛焼きのお店と…恋次、貴様の責任であろう!?」

と喧嘩になって結局白玉と鯛焼きを巡る論争にまた発展すれば良いと思います。
何となく甘味というと漆塗りの器だったり、木製のなめらか〜なラインが素敵な匙だったりするイメージが。
そして色は朱色かそのまま木目のものがグーです。
2人が匙くわえてる絵が描きたかっただけとかそんな事はあったりなかったりします。





2009/04/07